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花粉症

 いまや国民病とまで言われ、日本人の約25%が花粉症だといわれています。花粉症とは、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となって、くしゃみ、鼻水などのアレルギー症状を起こす病気です。原因となる花粉が飛ぶ季節だけ症状がでます。
現在、日本では、50種類以上の植物で花粉症が確認されています。九州と東北では、気候が違うので、地域差はありますが、2月からら4月はスギ、3月から5月がヒノキ、7月から10月がブタクサやヨモギが有名です。なお、スギ花粉は北海道から沖縄ではほとんど見られません。

<症状は?>
鼻の三大症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)だけでなく、目の症状(かゆみ、涙、充血など)を伴う場合が多く、その他にノドのかゆみ、皮膚のかゆみ、下痢、熱っぽい感じなどの症状が現れることがあります。目と鼻に主に症状が集中する理由は、両方とも粘膜で、花粉に最も接触しやすく、ガードがゆるい部分ということです。
口も粘膜ですが、唾液などで侵入した花粉が洗い流されてしまうので、症状が出にくいのです。

<花粉症と風邪の症状の違いは?>
花粉症と風邪は同じような症状が現れるので勘違いすることがあります。風邪はウイルス感染症の一種で、熱やのどの痛みを伴います。花粉症は熱が出ることはほとんどありません。また、くしゃみの回数も手がかりのひとつで、いきなり5~6回もくしゃみが続くときは、花粉症の可能性があります。さらに、眼・鼻の症状に加え、のどのかゆみがあれば医師に診てもらいましょう。

<花粉症は日本だけ?>
日本ではスギが花粉症の原因として有名ですが、アメリカでは主にブタクサ花粉症、ヨーロッパでは主にイネ科花粉症が有名です。ブタクサは「マッカーサーの置き土産」と呼ばれ、日本には第二次世界大戦後に米国から持ち込まれた植物です。

<診断>
受診時に明らかな症状があれば、治療を開始しますが、診断を確実なものにするため、アレルゲンを調べます。診断方法にはいくつかの種類があります。
(皮膚感応検査)
皮膚にスギ、ダニ、ヨモギ、イネなど原因と考えられるアレルゲンのエキスで刺激し、その反応をみます。15分ほどで反応が出て、皮膚が赤く大きく腫れれば、それがアレルゲンとわかります。
(血中IgE検査)
血液検査で原因となるアレルゲンに対する抗体を明らかにします。
(鼻粘膜誘発テスト)
原因抗原を鼻の粘膜につけると、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの反応がでます。

<治療>
花粉症の治療には大きく分けて主に以下の3つがあります。

  1. 薬物療法
  2. 減感作療法
  3. 手術療法

 

(薬物療法)
花粉症治療の中心となります。症状が出る前から治療をスタートする初期療法を受けることが花粉シーズンを楽に過ごす秘訣です。『花粉が飛び始める2週間前から』が基本です。地域によって差はありますが、花粉はわずかながら1月終わり頃より飛び始めますので1月に入ったらお医者さんに相談してください。
(減感作療法)
花粉の成分(アレルゲンエキス)の一部を注射で少しずつ体内に入れ、花粉に対する抗体を作らせないように身体のしくみを作り変える方法で、2,3年という長い期間の治療が必要となりますが、唯一アレルギーを治す可能性のある治療法と考えられています。現在、注射に代わって、口の中に抗原を入れる痛みのない方法が開発中です。
(手術療法)
レーザーで炎症が起きている鼻粘膜を切除して小さくする手術で、入院せず、外来で行える方法が普及してきました。術後は一時的に鼻づまりがひどくなったり、かさぶたができたりして術後改善するまで10日ぐらいかかるので花粉症のシーズン前に治療を終えるようにしましょう。レーザー治療も対症療法でアレルギーそのもの治りませんので再発もみられます。

<花粉症のセルフケアのポイント>
なるべく花粉が身体に入ってこないようにする工夫が大切です。

①花粉情報をチェック
テレビやインターネットで気象情報、花粉情報を入手しましょう。

②外出を控えめに
1日のうち飛散の多い時間帯(午前11時から午後6時)の外出はなるべく控えましょう。

③外出時は完全防備で
帽子、メガネ、マスク、マフラーを身につけて。コートはツルツルした素材を。

④玄関でシャットアウト
玄関で花粉をよくはらい、なるべく室内に持ち込まない工夫を。

⑤ドア・窓を閉める

⑥外出後は洗顔やうがいを

⑦洗濯物、布団にも注意を

花粉が付着し、寝ている間の症状悪化につながることがあります。外に干した洗濯物や布団は花粉をよく落として。

⑧掃除はこまめに
室内にもかなりの花粉が侵入します。きれいな室内はダニアレルギー対策にもなります。

<花粉症にならない人はいる?>
体質による個人差があり、今は平気でもこの先かからないとはいえません。発症する確率は、それまで花粉を吸ってきた量が関係します。数年しか花粉を吸っていない子どもより20年以上吸ってきた大人は発症しやすいといえます。

<症状が軽くなったら薬は飲まなくてよい?>
花粉症の症状は花粉の飛散量によって変わります。雨が降ると花粉は飛ばないため、その日の症状は楽になりますが、勝手にやめると次の大量飛散時に一気に症状が悪化することがあります。毎日規則正しい生活と服用を心掛けてください。

<花粉症は治るの?>
花粉症が治るというのは、花粉に身体が反応しなくなったということ。残念ながら自然に治る割合は低く、全体の2~5%といわれています。ある年に症状が出なかったとしてもこれは完治したとはいいきれません。たまたま飛散量が少ない年で症状が現れなかったり、小康状態になることはあります。若い頃、花粉症が発症しても60歳、70歳くらいで次第に症状が出にくくなるようです。加齢によって反応が起こりにくくなるからのようです。

 もはや国民病といわれている花粉症ですが、セルフケアもきちんと行い、症状を緩和し、つらいシーズンを乗り切りましょう。

 


西島葉子(にしじま ようこ)

 

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平成6年近畿大学医学部卒業後、大阪市立総合医療センター、済生会富田林病院小児科を経て現在、大阪市東住吉区にて、夫(循環器)と共に、にしじま内科・小児科を開業。6男2女の計8人の子供を育てながら、妻、母親、小児科医のわらじを履きながら毎日奮闘中。

 


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