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発見!私学力|青凌中学校のICT教育

UPDATE:2016年11月17日

発見!私学力 大阪青凌中学校 先生の指導と生徒の理解を結びつける 青凌ならではのICT教育

2016年に新コール教室が完成した大阪青凌中学校。他にも短焦点プロジェクターや電子黒板を使用した授業など、さまざまなICT環境を整えて、授業の充実をはかっています。しかし、単なる「ICT教育」に止まらないのが同校の魅力。大阪青凌中学校が考えるICT教育の重要性とは?それだけに偏らない生徒を伸ばす指導とは?校長の福力稔先生に取材しました。

ICT in education Teacher’s Interview 大阪青凌中学校・高等学校 校長 福力稔先生

INTERVIEW01

ツールによって、生徒のモチベーションや
学習への動機づけが大きく異なる!

ココロコミュ
Question
新しくコール教室も完成したとのことで、今回は御校のICTを使った授業やアクティブ・ラーニングに対するお考えについて、話をうかがいたいと思います。まずICT化の特徴としては、どんなことがあげられますか。
福力校長
Answer
本校では、学年所属の教員全員が1人1台ずつタブレットを持っています。入っているのはベネッセの「Classi」というソフトです。私がiPadをプライベートで使っていて非常に便利なものだと思い、これを教育や学校の中で活かせないかという考えはずっとあったのですが、学校教育に適したソフトに疑問があったんです。生徒がiPadを使っている学校も何校か見学に行きましたが、「それはiPadでなくてもできるのでは?」と思える内容も多く、大々的に導入したという学校でも現在はほとんど使っていないことさえありました。そういうこともあって、本校は導入にずっと二の足を踏んでいたのですが、「Classi」を知って契約して、今年で2年目になります。
ココロコミュ
Question
先生方はどのように活用されているのですか。
福力校長
Answer
活用方法は学校運営上で使うものと、授業で使うものの2種類に分かれます。学校運営上では、例えば今まで会議は基本的に紙に印刷して資料を配っていましたが、タブレット導入後は全部クラウド上に入っていますから、職員会議も完全にペーパーレスです。過去の書類も検索できます。授業面では、各教室に短焦点プロジェクターがついています。これは部屋を暗くしたり、映像を映すために距離をとったりする必要がなく、教室が明るい状態でも普通に見えるプロジェクターです。それを先生のタブレットとワイヤレスで結べば、例えば英語の本文を黒板に照射して利用すれば、時間も短縮され効率的に授業を進めることができます。
ココロコミュ
Question
実際に生徒たちの授業での反応はいかがですか。
福力校長
Answer
例えば、「NHK for School」というサイトに小中の義務教育に使える動画が無料で公開されていますが、わかりやすい例でいうと、歴史で第二次世界大戦について学ぶとしますね。当然ながら生徒も教師も第二次世界大戦を経験していないわけですから、最初に5分だけ、第二次世界大戦の動画を見せるんです。それが勉強の導入になるわけですね。そういう意味では生徒のモチベーションや学習への動機づけが大きく異なってきます。
電子黒板を活用した授業
電子黒板を活用した授業
ココロコミュ
Question
電子黒板も積極的に活用されているそうですが。
福力校長
Answer
電子黒板の導入は短焦点プロジェクターより2、3年早かったのですが、高槻市は公立中学校にも短焦点プロジェクターが導入されていますから、私学として設備を充実させたいという考えがあったことと、中学の英語の先生のニーズが高かったので導入に踏み切りました。昔は紙に書いたフラッシュカードを物理的に動かしていたりしましたね。それが電子黒板では当たり前のように画面で変わるわけです。当然、発音もネイティブの発音ですから、とても便利です。
ココロコミュ
Question
授業の内容そのものもかなり変わってきているのですね。
福力校長
Answer
そうです。変わらざるを得ないと思いますね。社会科で少し凝ったことをする教師は、関ヶ原の合戦のときにどの軍がどこに陣を設けていたかなどをビジュアルで見せたりしています。
ココロコミュ
Question
ビジュアルを強化することの成果は大きいと?
福力校長
Answer
新しいコール教室
新しいコール教室
動機づけとしていいですね。やはり今の子たちはビジュアルで見るということを日常で普通に行っていますから、動画を5分見せて「面白い」という感覚を持つことは大きいと思います。そういう意味では、教員がそういう技術やテクノロジーを利用しない手はないですね。
ココロコミュ
Question
コール教室をリニューアルされたのも、ICT環境強化の一環ですか。
福力校長
Answer
そうですね。新コール教室は、主として英語の実践的な教育に利用する予定です。この教室では、生徒がそれぞれのPCにログインした後、クラウド上にある複数のプログラムの中から、自分が学びたいものを選び、さらに自分の進度に合わせて学ぶことができます。またマイクはこれまでのLL教室のように先生の問いに答えるだけではなく、プログラム上で英語を発音し、それをPCが認識するためについています。実用的な英語力が必要とされている現代、この教室が生徒たちのリスニング・スピーキング能力の向上に役立つと思いますし、英検取得やTOEIC、TOEFLといった試験対策に勉強したい生徒にとってもメリットは大きいと思いますね。
新しいコール教室
新しいコール教室
INTERVIEW01

基本を大切に、自分で学んだことを
自分で復習できる、質問できる!
そういう力をICTツールで養いたい。

ココロコミュ
Question
多様な教育法があるなか、アクティブ・ラーニングも各校で盛んですが、御校ではどのような取り組みをお考えですか。
福力校長
Answer
アクティブ・ラーニングは、言葉だけが独り歩きしているように個人的には思っています。何かにつけてアクティブ・ラーニングと言われて、机を合わせて何かやっているとアクティブ・ラーニングと言われるようなところがある気がするのです。しかし本来、「アクティブ」と「ラーニング」の間には「・」があって、最初はラーニングをアクティブにしたいということだったと思います。大学で一方的に教授の講義をきいているだけという授業が最もアクティブではないラーニングで、ゼミのような形式で学生が手を挙げて発表したり、レジュメを読んだりするのがアクティブ・ラーニング。それでこそ学生の頭の中に知識が定着していくのではないかということなんですよね。
しかし常識的に考えるとわかるのですが、社会科で室町時代、封建社会の崩壊はどんな風に起こったか、みんなで話し合うというアクティブ・ラーニングをやるとしても、室町時代の知識がない状態ではそもそも無理です。だからまずは基礎的な知識積み重ねが必要です。そのためには一斉授業でもいいと私は思いますし、一斉授業でもラーニングがアクティブなこともあると思います。
ココロコミュ
Question
基本を見失わないようにしたいと?
福力校長
Answer
そうです。ですから我々がもっと重視しているのは、単純な話ですが、家庭学習の時間を確保するということです。家庭学習をする時間は小中高大と上がるにつれ、段々と短くなっています。本校では中1・中2に「Risingノート」、中3と高校生に「Rising Diary」を毎年渡しています。月間スケジュールの欄には、あらかじめ1年分の行事予定が印刷され、これを見たら中間テストがもうすぐ始まるなとか、高校2年生のこの時期は修学旅行に行っているのだなとかが、全学年の生徒たちにわかります。
RisingノートとRising Diary
RisingノートとRising Diary
もう1つは週間のスケジュールで、家での学習時間を分単位で記録するようになっています。高校生は入学してから最初の3週間の平均的な行動が、3年間続くんですよ。だから、その期間に家できちんと勉強ができない生徒は、きちんとした家庭学習が3年間とれないことになりかねません。だから最初のうちに、家でちゃんと勉強する習慣をつけるということに我々は注力しています。
そして最終的にはこれもデジタル化したいと思っています。1週間に1回、先生が時間の集計をしていますが、それを生徒たちがインターネットで入力してくれる形にしたいです。つまりICTをことさらに使うためというよりは、生徒たちが自宅で勉強する習慣をつけられるようにしようということです。
ココロコミュ
Question
他の取り組みも、ICTを使うことが目的ではない?
福力校長
Answer
福力校長
それはただのツールですよね。そこを見失うと、「タブレットを買ってよかった」で終わってしまいます。タブレットを生徒全員に持たせることを否定はしませんが、持つことによる弊害もありますから。しかし、タブレット端末自体は本当によくできているツールなので、使いようによっては無限の可能性があります。そのことを我々が教えていかないといけないです。私が最も大事だと思うのは、生徒と先生にタブレットを支給するタイミングを一緒にしないことです。
生徒の知識の方が圧倒的に上回っているので、タブレットを同時に配ったら生徒が教師に使い方を教えることになります。そうなると、教師が生徒をコントロールできなくなるんですね。「Classi」は3年契約で本校でも来年は3年目になります。そこで、今後、どう変えていくかについて検討を始めています。
ココロコミュ
Question
今後のICT教育や環境については、どのようにお考えですか。
福力校長
Answer
タブレットが生徒たちにとって特別なものではなくなっているので、教員がまず対応しなければいけないというのが最大のポイントではないかと思います。例えば理科の先生なら、これまでは演示実験を机の上でやっていましたが、YouTubeからその実験の動画を引っ張ってきて、短焦点プロジェクターで黒板に照射すれば、いちいち実験するための教材を持っていかなくてもよくなります。だからツールとしてのタブレットを使いこなすために、まず教員にとっての研修が必要になってきますね。
ココロコミュ
Question
こうして学んだ生徒たちにはどのように成長してほしいですか。
福力校長
Answer
一概に言えませんが、世の中に出たときに、これまでのように会社に入って定年まで勤める人というのは少なくなってくるわけで、いずれかの形でいったん入社した会社を抜けたり、また新しく入ったり、するわけですよね。そのときに自分で立ち上がって、自分で新しいことを学んでチャレンジしていかなければいけません。知識を詰め込んでおくよりも、そういう行動ができる習慣をつけておいてあげなければいけないと思います。その意味では新しいことのみ追及するのではなく、基本的なことを大切に、自分で学んだことを自分で復習できる、自分で質問できる、そういう力がタブレットなどのツールで養えればいいなと思います。
様々なICTツールを積極的に採用している大阪青凌中学校。但し、その採用に関しては流行りに左右されるのではなく、いかに使うか?何のために使うか?をよく吟味し、生徒の学力向上のためには過信しすぎない姿勢を持たれていることに好感が持てました。ツールに使われるのではなく、ツールを使いこなすことが肝心だと感じた取材でした。
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